MinimalでECチームのリーダーである兒嶋仁視さん(右)と筆者

「代表の山下は、日々よいカカオ豆を求めて赤道周辺にいて、ほとんど日本にいなかったんですよ」。そう笑いながらお話しをしてくださったのは、スペシャルティチョコレートのMinimalでECチームのリーダーである兒嶋仁視さん。店舗から営業を開始したMinimalが、いまやEC売上の方が大きいといいます。お客さまの体験のために実現しているOMOのシステム全体像を店舗にて教えていただきました。

インタビュー・文: 水野正和(App Unity)
撮影: 東口美睦(App Unity)


ー まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

兒嶋仁視(以下、兒嶋) Minimalは日本発の職人の手仕事でカカオ豆からチョコレートをお造りする、Bean to Bar Chocolateのブランドです。Bean to Barとは、カカオ豆の仕入れから、製造、販売までを自社で一気通貫して行うことをいいます。また、私は前職では日用品企業の通販部門でECの責任者をしておりました。2021年の7月にMinimalにジョインしました。

ー MinimalさんのOMOの環境の全体像を図式化してみました。この中で環境としてあったのは、POSレジの「スマレジ」だけだったということですね。

MinimalのOMO全体像(App Unity作成)

兒嶋 私が入社前のことですが、Minimalが店舗を開店する際に、スマレジの競合さんと比べた上で欲しい機能があったスマレジを導入したと聞いてます。ECにおいては、別のカートを使っていたところを2019年にShopifyに切り替えて、コロナが長期戦になる以上、ECでも売上を確保しないとということで、一気にデジタルシフトに注力しました。

ー POSレジ「スマレジ」とShopifyを連携するのにShopifyアプリ「Omni Hub」を導入されていらっしゃいますが導入の背景を教えて下さい。

兒嶋 2022年の7月に店舗とECを横断したメンバーシッププログラム「Minimal Collective」をローンチするにあたって、会員情報の統合が必要となりました。現状の環境から考えたら、Omni Hubさん一択かなと。Collectiveという単語には、「共同体」とか「仲間」というような意味があります。Minimalは新しいチョコレート文化を築きたいということをビジョンとして掲げていますが、我々だけでは文化をつくることはできません。カカオを栽培している農家さん、チョコレートの造り手の我々、それを楽しむお客さまの三者が、楽しみながら盛り上げていかないと文化はできあがらないと思っています。そこで、単純にポイントで値引きするようなプログラムではなく、ご利用いただくたびに関係性を深め、お客様がまだ体験されていない体験をプレゼントする構造でプログラムを設計しました。

スマレジとShopifyを連携するためにアプリ「Omni Hub」を選択

ー Omni Hubアプリを導入してみて、お客さまやスタッフさんからのなにかフィードバックをいただけましたか?

兒嶋 通常だとお客さまがマイページにログインをして、会員証を提示してスキャンする動きになりますが、僕たちはレシートにQRコードを印字してそれをスキャンすると会員情報のステータスが上書きされる機能をOmni Hubに入れてもらったんですよ。それにより店舗の運用としても、お客様が利用する際も、後付けできるため非常にわかりやすいとお声を頂いています。また、2022年の年末にOmni Hubに実装していただいてこれからMinimalでも対応をしていきたいと思っているのですが、会員証のバーコードをAppleウォレットGoogle ウォレットに入れられて、店頭ですぐに会員証を出せる機能が加わり、レジでのオペレーションがスムーズになりそうです。

ー ロイヤルプログラムアプリ「VIP」はどのように使われてるんでしょうか。

兒嶋 VIPは、お客様の購入状況に応じたランクの振り分けに使用しています。メンバーシッププログラムのアプリを選定するにあたって、海外ツールも含めて比較した時にやっぱり国産ツールで、話がしやすく、僕らの要望もすぐ叶えてもらえたというところもあったりしたので、VIPを導入しました。

ー また、Minimalさんはサブスクリプション(定期便)を「CHOCOLATE ADDICT CLUB」、「30DAYS CHOCOLATE」、「Minimal Chocolate for Office」と三種類展開されていらっしゃいますが、サブスクリプションはShopifyアプリ「定期購買」を導入されていらっしゃいますね。

兒嶋 これも選定した背景があって、「CHOCOLATE ADDICT CLUB」を始める前に「カカオツアー」という板チョコレート3枚を毎月お送りするサブスクリプションをやっていたんですけど、その時に入れてたアプリが海外ツールで、しかも結構初期の段階で入れたものだったのですがバージョンが古くてアップデートできなかったんですよ。管理画面が複雑で社内の工数が非常にかかっていたのでサービスリニューアルの際に載せ替えることにしました。ただ、通常のサブスクって同じ商品を決まった日に、それぞれにユーザーにお届けするものですが、CHOCOLATE ADDICT CLUBは、最新作や限定商品を最前線で楽しんでいただくというコンセプトのもと、毎月決まった日に、月ごとに異なる商品を送るという形態を取っているので、ちょっと普通のサブスクとは毛色が違うんですよね。それを対応してくれたのが「定期購買」だったんですよ。

ー eギフトは「AnyGift」アプリを導入されていらっしゃいますね?

兒嶋 お菓子のカテゴリはやっぱりギフトシーンにフィットしているので、eギフトのサービスをいくつか検討してたんですけど、ちょうどAnyGiftさんが立ち上げのタイミングで、お声をかけていただいたということもあって、僕らが実現したい要望も開発に入れてもらえたこともあり導入しました。

ー 今後の展開としてはどのようなことを考えられていらっしゃいますか?

兒嶋 考えていた全体像は実現ができたと思っていますので、今後はアプリを増やすよりも、それぞれの機能のPDCAを回していって深掘って磨き上げたいと思っています。サブスクリプションの体験しかり、CRM PLUS on LINEを導入しているのでCRMの設計だったり。

ー これからもMinimalさんの商品や動きから目が離せませんね。この度は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

MinimalのOMO全体像(App Unity作成)

寄稿者プロフィール

水野正和

株式会社フィードフォース App Unity支援チーム

2006年にイオン株式会社 戦略部配属、電子マネー「WAON」の立ち上げに参画。翌年に事業企画プロジェクトチームにて「イオンネットスーパー」の創業メンバーとなり物流、オペレーション設計、品質管理基準の設計を担当。2018年末からはレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社のコマース事業の立ち上げに参画し、PB「クラシルミールキット」をはじめ、Instacartモデルの「クラシルデリバリー」など複数の新規事業を構築。その際に出会ったShopifyに魅了され「多くのマーチャントが本業であるコマースに集中できる環境を作りたい」という想いで国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」に参画。座右の銘は「大黒柱に車をつけよ」。 Twitter