執筆:水野正和(App Unity)
日本を代表する商社のひとつである三井物産株式会社がShopifyアプリの開発及び提供に参入しました。アプリの名は「プラスシッピング(Plus Shipping)」。Shopifyでコマースを営む販売者にとって、このプラスシッピングを導入するとどのようなメリットや効能があるのかを紹介していきたいと思います。
【Note】 ※プラスシッピングの公式サイトが公開されました。 最新情報は公式サイトをご覧ください。 (plus-shipping.com) (2023年3月2月更新) ※三井物産株式会社がShopifyに感じている可能性や想いについて、App UnityのYouTubeにてキーマンを取材しました。本記事の最下部に掲載しておりますので、合わせてご覧ください。
Shopify初の配送注文アプリとなるプラスシッピングとは?

プラスシッピングとは、Shopifyを活用している販売者が配送業務工数を効率的かつ特別価格の運賃で配送業務を行うことができるアプリです。特に自社オフィスや店舗、倉庫で配送業務を行っているようなマーチャントに最適なアプリとなっており、Shopify注文情報を自動同期し、送り状発行までの業務をカンタン操作で行うことができます。 配送会社への申込(※)、配送情報の管理、送り状ラベルの購入・印刷、配送料の決済など、配送に関する機能がAll in Oneになっているサービスで、Shopifyアプリでは初めての配送注文ができるアプリとなっています。(※現在は日本郵便のゆうパック、ゆうパケットのみ対応。)
プラスシッピングはなぜ集約運賃と全国一律料金で利用できるのか?

まず最初に目を引くのは運賃の安さです。ECを行う事業者にとって最初にぶつかる壁は運賃だと思います。注文数が少ないがゆえに荷物量も少なく、配送会社と運賃の交渉がしにくい点にあります。このプラスシッピングは、Shopifyを利用するマーチャント達を集約させることで、配送会社様から協賛・協力頂き、好条件な運賃を提供頂いていることが最大の特徴です。しかもサイズ別で全国一律料金となっているため、複雑な配送料計算も不要となっています。追加料金が発生しがちな離島に対しても特別な条件はないため、どこからのご注文でも安心して出荷することができます。なお、出荷ごとの運賃以外に加えて、毎月「プラスシッピングアプリ利用料金」が別途必要となります。出荷件数が50件までであれば月額 14.90ドル、51~100件までは月額 20.80ドル、101件以上の場合は月額 29.70ドルという料金体系になっています。
これまでのECプレイヤーの配達に関する悩み
これまでのECのプレイヤーにとって、配送については以下のような課題がありました。これからの課題をまるっと解決したものが、このプラスシッピングというアプリになります。
- 配送会社と個々に契約し交渉する手間
- 配送会社と個々に契約し、運賃の値引き交渉するのは手間も時間もかかる
- 既存の送り状発行アプリは、配送会社と直接個々に契約をする必要あり、申し込みから利用開始できるまで10日以上かかる
- 操作しにくい
- 既存の送り状発行アプリは、一件作成するのに時間がかかるものが多く、かつ、複数の注文を一括印刷できないものもある
- 既存の送り状発行アプリは、データをCSVにファイル化してからアプリに連携するので手間がかかる
- 連携しにくい
- Shopify上の注文データと配送業務の連携がスムーズでない
- 既存の送り状発行アプリは、Shopifyとシームレスに連携せず操作しにくい
- 送り状発行を含む既存のアプリでは、 一連の配送業務がひとつのアプリで完結できない(複数アプリを並行使用)
- 割高な運賃
- 貨物数が少ないと配送会社から安い運賃が取得できない
- 遠隔地やサイズの大きい貨物の配送となった場合、運賃が高く収益性が悪くなる
プラスシッピングを使えば配送会社との個別契約は不要
プラスシッピングのアプリを通して申込みをすれば、日本郵便に対する個別の申込みや契約は不要となっています。最短3日で利用可能となる素早さも魅力です。また送り状台紙は無料で日本郵便が配達をしてくれます。

Shopify注文情報とアプリ配送情報が自動連携
Shopifyストアからの注文情報をリアルタイムでプラスシッピングアプリに同期することで配送情報登録の自動化を実現しています。

アプリ上で一括印刷、追跡番号発行や発送通知が可能
手書き不要の送り状が印刷できます。配送会社の配送情報とシステム連携しているため、追跡番号発行、メールによる発送通知、配送日時指定にも対応をしています。

送り状発行業務にかかっていた時間が93%削減できる
プラスシッピング導入前と後で、送り状発行に関わる業務のフローを対比すると以下のようになります。これまでは配送会社のアプリを起動して別途操作する必要がありましたが、Shopifyのために設計された配送注文アプリであるため、プラスシッピングの発表によるとこれまでと比べて93%の時間を削減することができるということです。


2023年2月6日よりチルド便に対応、さらに新たに大手配送会社との連携を検討中とのこと
現段階では日本郵便のゆうパック、ゆうパケットのみ利用ができる環境ですが、2023年2月6日よりチルドゆうパックに対応、さらに新たに大手配送会社との連携を検討中とのことです。また、現在、60日間のアプリ無料体験に加えて、2023年1月末までは年末年始のマーチャント様応援キャンペーンと称された特別料金も出ているようですので、一度試しに使ってみるのもいいかもしれませんね。


□アプリ情報 - ディベロッパー: 三井物産株式会社 - 創業:1947年 - 本社:東京都千代田区大手町 - 業種:総合商社(東証プライム上場) - Shopify app store
スピーカー
■三井物産株式会社
コーポレートディベロップメント本部 物流事業部
グローバルロジスティクス室 マネージャー 松島 秀明 氏
寄稿者プロフィール
水野正和
株式会社フィードフォース App Unity支援チーム
2006年にイオン株式会社 戦略部配属、電子マネー「WAON」の立ち上げに参画。翌年に事業企画プロジェクトチームにて「イオンネットスーパー」の創業メンバーとなり物流、オペレーション設計、品質管理基準の設計を担当。2018年末からはレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社のコマース事業の立ち上げに参画し、PB「クラシルミールキット」をはじめ、Instacartモデルの「クラシルデリバリー」など複数の新規事業を構築。その際に出会ったShopifyに魅了され「多くのマーチャントが本業であるコマースに集中できる環境を作りたい」という想いで国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」に参画。座右の銘は「大黒柱に車をつけよ」。 Twitterは @MizunoBizDev