ShopifyはShopifyアプリを用いることで様々な施策を行うことができます。ただ、一方で様々な施策を実施したものの、それらの効果検証をやらずに、施策をやりっぱなしの状態にはなっていないでしょうか?
より多くの施策が選べますが、顧客に本当に必要となる施策だけを厳選し、提供し続ける必要があります。それらの施策を厳選し、PDCAを回していくためにはデータ分析は必須となります。
今回は、Shopifyアプリのサブスクリプションアプリ(以下サブスクアプリ)を実際に導入された食品飲料ECのA社様の事例を元に、導入後の成果にどのような変化があったのかを分析しました。
サブスクアプリ導入により顧客の定着率はどう変化したのか
一般的に、顧客の維持率を増加させるのに定期購買という施策は非常に効果的であるとされています。その仮説を実際に検証しました。
下に示す画像は、サブスクアプリ経由での売り上げと新規顧客の維持率を可視化したものになります。(実際のデータを元にしているため、一部軸のスケールは隠されています)
新規顧客の維持率とは、新規顧客のうち翌月も購入した割合のことを指しています。
グラフからわかるように、サブスクアプリを通じたでの売り上げの増加とともに、新規顧客の維持率が増加しています。この時、新規顧客の維持率は20ポイント以上上昇していることがわかりました。
このようなことから、サブスクアプリ導入は顧客の維持率に貢献しているということがわかりました。
どのサブスクアプリでも効果は同じなのか
Shopifyでは多くのサブスクアプリを利用することができます。それぞれのアプリにはそれぞれの特徴があります。それらのサブスクアプリのうちどれを選択しても同じような効果が期待できるのかを検証しました。
今回分析に協力していただいた食品飲料ECを運営するA社様は、現在ご紹介しているサブスクアプリを利用するまでは、B社様のサブスクアプリ(サブスクアプリB)を使用されていました。
B社から提供されるサブスクアプリBからサブスクアプリに移行されたことでどのような変化があったのかを紹介したいと思います。
上に示した画像は、販売チャネル別での売り上げの変化を可視化したものです。(今回可視化の対象としているのは、一度限りの購入での売り上げ・B社から提供されるサブスクアプリB・サブスクアプリの3種類のみ)
サブスクアプリのリプレイスとともに、B社から提供されるサブスクアプリBとサブスクアプリの売り上げが入れ替わっている様子が確認できます。
B社から提供されるサブスクアプリBをご利用されている期間は、サブスク経由の売り上げとオンライン経由での売り上げがほぼ等しくなっていることがわかります。
サブスクアプリに変更されてからは、全体の売り上げのうち60%以上がサブスク経由の売り上げになっていたことがわかりました。
ここで注意が必要となるのは、一度限りの購入での売り上げが一時減少傾向にあったということです。
これまでオンラインを利用されていたお客様がサブスクを利用されるようになっただけで、全体の売り上げとしては横ばいになっていたことが同時に確認できました。
サブスク利用顧客の割合が増加する利点とは
売り上げが横ばいのままにも関わらず、定期購買を利用されるお客様の割合が増加したという結果からどのようなことが考えられるのでしょうか。
同じくサブスクアプリを提供しているrechargeのレポートによると、GMV(流通取引額)が多いマーチャントは年間でサブスクの売り上げの割合が高くなるという傾向があることを発表しています。以下はそのレポートの画像の抜粋になります。
Cohortが低い順にGMVが$100~$100,000、$100,001~$500,00、$500,001~$1,000,000、$1,000,001~$5,000,000、$5,000,000+となっている。
このようなことから高いGMVを生み出すには、サブスク利用するお客様の割合を増加させ、安定した収益を生み出すことが重要であるということがわかります。
さいごに
今回はサブスクの効果検証を可視化しながら分析しました。ここからさらに深掘りの分析を実施して売り上げが横ばいになっている課題を発見することで、現在の定着率を活用した売り上げ向上の施策を発見することができました。
冒頭にも書いたように、施策をただやっただけにするのではなく、定量的に現在の状況を見つめ直し、次の施策を考えていく必要があります。最後までご覧いただきありがとうござました。
寄稿者プロフィール
八百 俊哉
株式会社フィードフォース App Unityチーム
フィードフォースへ新卒入社し、データ分析チームでデータサイエンティストを担当。その後、App Unityチームに参加し、Shopifyストアのデータ分析サービス開発・新規事業開発に携わる。