執筆 水野正和(App Unity)
□ご注意!□
はじめに…本記事でご紹介するStore Leadsのデータは、WooCommerceやShopifyなどの各サービスが発表している公式数字ではなく、DNS と WHOIS データを組み合わせたヒューリスティックを使用して分析しています。そのためソースに偏りなどがあるかもしれません。あくまで自己責任で参考情報としてご活用ください。
Store Leadsが2022年12月23日付けで「The State of Ecommerce in 2022」を発表しました。The State of Ecommerce in 2022とは直訳すると「2022年のeコマースの現状」という意味で、2022年の現段階で最も使われているECカートとそれぞれの傾向を発表した内容になっています。この発表は四半期に一度発表される貴重な情報なので、私は必ず3月、6月、9月、12月に定点観測しています。早速ですがその内容を見ていきたいと思います。
そもそもStore Leadsってなに?
Store Leadsとは、1,100万を超えるアクティブなECストアに関する数十もの属性を収集し、ECマーチャントに関連する2,000を超えるさまざまなアプリとテクノロジーを追跡しているサービスです。DNS と WHOIS データを組み合わせたヒューリスティックを使用して分析しているようです。主にマーケティング代理店、テクノロジーベンダー、投資家などに使われているツールなのですが、これがECを運営しているやっている人にとっては使える部分があります。私がよく使うのは、以下の3点です。順に説明をしてまいります。
❏Store Leadsの使い方 3 Tips ①世界のECトレンドが定点観測できる ②各ECカートのトレンドが定点観測できる ③ChromeのPluginを使って興味があるECがどこのカートを使っている瞬時に分かる
世界のECトレンドが定点観測できる
いま世界で一番使われているECカートはどこでしょうか? 答えはこちらです。

- 加盟店数では、WooCommerce と Shopify が圧倒的に優勢で2カートで市場の半数をおさえています。Shopifyは他のカートに比べるとわずかながら速く成長している傾向があり、マインドシェアが大きく、平均して大規模なマーチャントを抱えている傾向があるようです。
- Magento と PrestaShop は使用しているマーチャントの数という点ではかなり近いのですが、Magento の方がエンタープライズよりのマーチャントがはるかに多い傾向になっているようです。
- Square Online は、主にマイクロマーチャントに力を与えていますが、成長率が最も高い eコマースプラットフォームとなっています。
- Salesforce Commerce Cloud は比較的少数の店舗で利用されていますが、その店舗はパタゴニアやプーマなどの規模の大きなクライアントが目立ちます。
SNSとの連携状況
- Instagram は、Shopify ストアの 48.1% で使用されています。
- Facebook は、Shopify ストアの 38.5% で使用されています。
- Twitter は Shopify ストアの 10.3% で使用されています。

各ECカートのトレンドが定点観測できる
全てのECカートの傾向を見ることが出来ますが、今回は試しにShopifyの傾向を見てみましょう。
- 現在、Shopifyプラットフォームで稼働しているライブストアは 2,002,945 あります。
- Shopifyストアは、2022年第3四半期に前四半期比で16.0%増加しました。
- Shopify トアは、2022年第3四半期に前年比で45%増加しました。
- Shopify は現在はオムニチャネル・プラットフォームになっていますが、そのボリュームの大部分はオンラインコマースのままであると言っても過言ではありません。

Shopifyストアのトップカテゴリー
- Shopify ストアの 25.9% がアパレル製品を販売しています。
- Shopify ストアの 10.8% がホーム & ガーデン製品を販売しています。
- Shopify ストアの 9.1% が美容とフィットネスの商品を販売しています。

Shopifyストアはどこの国でよく使われている?
- Shopify ストアの 48.5% がアメリカ合衆国
- Shopify ストアの 7.5% は英国
- Shopify ストアの 6.0% がカナダ
- Shopify ストアの 5.2% がオーストラリア

Shopifyでよく使われているアプリは?
- Cloudflare CDN は、Shopify ストアの 98.2% で使用されています。
- Apple Pay は、Shopify ストアの 54.8% で使用されています。
- Shop Pay は、Shopify ストアの 49.6% で使用されています。
App | Stores |
Product Reviews | 427,920 |
Mobile App Builder ‑ Shopney | 385,724 |
Shopify Inbox | 294,919 |
Geolocation | 273,370 |
Klaviyo: Email Marketing & SMS | 260,012 |
Customer Privacy | 209,435 |
Instafeed ‑ Instagram Feed | 162,655 |
Mailchimp: Email Marketing | 162,095 |
DSers‑AliExpress Dropshipping | 159,527 |
Judge.me Product Reviews | 155,823 |
人気のShopifyテーマは?
- 「dawn」は、Shopify ストアの 18.1% で使用されており、最も人気のあるテーマです。
- 「debut」は、Shopify ストアの 14.8% で使用されており、2 番目に人気のあるテーマです。
- 「impulse」は、Shopify ストアの 3.7% で使用されており、3 番目に人気のあるテーマです。

Shopifyで一番売れているストアはどこ?
なんとサンリオがShopifyのセールスの上位に入っています。コンテンツホルダーは強いですね。
Name | Domain | Created |
Kylie Cosmetics | kyliecosmetics.com | 2016/12/30 |
www.bmstores.co.uk | www.bmstores.co.uk | 2019/11/29 |
Sanrio | www.sanrio.com | 2016/12/30 |
SKIMS | skims.com | 2019/09/20 |
Bodybuilding.com | www.bodybuilding.com | 2016/12/30 |
Shopifyにリプレイスする前はどこのカートを使っていた?
過去 90 日間で、Shopify は他の競合ECカートからのリプレイスが18,660も発生しているそうです。元々使っていたカートは、多い順にWooCommerceと自社カスタマイズのカート、そしてWixの順番となっていました。

現時点ではWooCommerceがシェア1位ですが、そのうちShopifyにシェアを抜かれる可能性は高いと思われます。そう感じるのは、Google Trendsでこの1年の検索ボリュームを比較してみると、圧倒的にShopifyのボリュームが多い動向となっているためです。

国別で検索ボリュームを見てみると、ロシアや日本、南米ではWix、北米とカナダ、APACではShopify、ポーランドでは圧倒的にWooCommerceが検索されているんですね。

Shopify Plusの傾向も分析可能
Shopifyにはエンタープライズ向けの最上位クラスの「Shopify Plus」というプランもあるのですが、そちらも個別に分析ができるようになっています。ご興味があれば御覧ください。
Store LeadsのChrome向けPluginが使える
競合のECサイトを見て、「このECはどこのカートを使っていて、自社と比べてランキングはどれぐらいなのだろうか?」と思うこともあると思います。そんなときは、Chrome向けのStore LeadsのPluginをインストールしていればワンクリックでどこのプラットフォームを使っているのかひと目で分かるので使ってみるといいと思います。

最後に
ここまでStore Leadsの最新の発表を紹介しました。世界には本当にいろいろなECカートがありますね。それぞれの特徴を活かして、自社のビジネスモデルにフィットするECカートを選ぶのが良さそうですね。Shopifyで「短納期・低価格・スケーラビリティを持って」構築をされたい際は、ぜひともApp Unityに相談をいただければ幸いです。それでは最後にご唱和ください。「App Unityに相談だ!」


寄稿者プロフィール
水野正和
株式会社フィードフォース App Unity支援チーム
2006年にイオン株式会社 戦略部配属、電子マネー「WAON」の立ち上げに参画。翌年に事業企画プロジェクトチームにて「イオンネットスーパー」の創業メンバーとなり物流、オペレーション設計、品質管理基準の設計を担当。2018年末からはレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社のコマース事業の立ち上げに参画し、PB「クラシルミールキット」をはじめ、Instacartモデルの「クラシルデリバリー」など複数の新規事業を構築。その際に出会ったShopifyに魅了され「多くのマーチャントが本業であるコマースに集中できる環境を作りたい」という想いで国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」に参画。座右の銘は「大黒柱に車をつけよ」。 Twitter Facebook