Shopify POSでは、店舗とEC(Shopify)の在庫情報や顧客データを連携し、一元管理することができます。しかし、実際にPOSの移管や導入することは非常に大きな変化となり、迷われる方は多いのではないでしょうか。
今回は、最先端のShopify POSを導入した「CLASSICS the Small Luxury」様にお話をお伺いしました。明治12年創業の老舗企業が手掛けるブランドが、なぜShopify POSを導入することに至ったのか、既存のPOSを使い慣れていた店舗スタッフの反応など、CLASSICS the Small Luxury責任者と現場のスタッフ(店長)の2名にそれぞれの視点からお話いただきました。
CLASSICS the Small Luxuryについて
明治12年創業のブルーミング中西が「手のひらに広がる小さな贅沢」をお届けするという思いから2003年に生まれたハンカチーフ専門ブランド。良質な素材に伝統的な技術製法と現代の感性を組み合わせて、シーズンごとのオリジナルデザインを生み出す。
店舗は、東京に3店舗(六本木・丸の内・人形町)、福岡・鹿児島に1店舗ずつ展開している。
■ 公式オンラインストア
■ ブルーミング中西株式会社HP
Shopify POS導入のきっかけ
責任者サイド(黒田 氏)
Shopify POSの導入は、ECサイトをShopifyに変更したことがきっかけです。Shopifyに変更した理由は、ECサイトのページを自分たちで柔軟に編集できたり、機能をカスタマイズできたりする点が非常に魅力的だったからです。
Shopifyに変更すると決めた後に、Shopify POSを使うとECと店舗の情報を連動できるようになると、当時パートナーとして支援いただいていたアパレルウェブ様から紹介があり、魅力を感じて試してみようと思いました。
導入開始と現場への展開の方法
責任者サイド(黒田 氏)
Shopify POSを本格的に導入する前に、1店舗で2ヶ月間テスト期間を設けました。その期間は、既存のPOSレジを打ったあとに、Shopify POSで2度打ちをする形をとっていて、工数はかかりましたが、使用感をテストすることが必要だと思い実施しました。
結果、既存のPOSレジとShopify POSのどちらもいいところがありましたが、Shopify POSだとやはり在庫数や売上がリアルタイムですべてShopifyに反映されて、本社のパソコン画面でもすぐに確認できる点が非常に魅力的だと感じました。
また、既存のPOSに比べて、費用面で圧倒的に安価*でした。
オペレーションや費用面でも良い面が多く、先々のお客様とのリレーションの向上も期待できるなと実感し、本格的な導入に踏み切りました。
*CLASSICS the Small Luxuryでは、Advanced Shopify(プレミアム) + POS PROを利用中。
現場サイド(輿水 氏)
お会計時は、もともと大きな機械をもった既存のPOSレジを用いて、レジ打ちをしていました。POSがShopify POSに変更すると本社から聞いたときは、現場としては大きな変化になるので、正直戸惑いはありました。
ただ、本社からは「なぜこの変更を行うのか?」という目的共有があり、デジタル化することで顧客管理をブランドとして統一することが可能になるということでした。
私自身、CLASSICS the Small Luxuryは口コミで広がっていくブランドということもあり、どうしても店舗のスタッフとお客様の個人個人のつながりが強いと感じていました。ただ、ブランドとしては、誰が迎え入れてもお客様を同じクオリティでご対応することが目標だと思います。
POSを変更することで、お客様の情報がブランドで統一されるので、誰でもお客様に合わせた接客をすることができますし、ECでも店舗でも使えるポイント制度の導入などお客様から要望が多かった施策も実施することができます。
このように、目的を共有していただいたので、共感して前向きに取り組むことができました。また、試験的な期間を設けていただき使用感を確認できたので、すぐに慣れることができました。
導入後の変化とお客様の反応
責任者サイド(黒田 氏)
導入後の変化としては、先述したように店舗の情報をリアルタイムで反映できるようになったことやコストを抑えられたこと以外に、お客様の情報が蓄積できるようになりました。
会員登録をしていただくフローが必要となりますが、登録さえしていただければ、購入履歴などもすべてShopifyのデータの中に溜まっていき、弊社が見れるのはもちろん、お客様側でも簡単に見ることができます。
Shopify POS導入前は、会員登録は紙ベースで行っており、お客様がご来店されるたびに膨大なリストの中からすべてを巡って探す必要がありましたが、Shopify POSだと、名前やメールアドレスで検索することもできますし、お客様に会員証をご提示いただければ、QRコードを読み取ることですぐにすべての情報を見ることができます。
このようなフローが整ったことが非常に大きいです。
また、接客の際にも活用することができています。Shopify POSでは、個人個人の会員情報にメモを残す機能があるので、例えば接客時にあった要望やご指摘、お客様の趣向に合わせた提案の履歴を残すことができます。
接客への活用はまだまだ可能性があると思っており現在も試行錯誤中ですが、お客様の情報がデータとして溜まって、誰でも見れるようになったことで、お客様のことを知っているのが販売員1人ではなく、全員という環境を整えられたことはブランドとして大きな変化だと思います。
現場サイド(輿水 氏)
導入後のお客様の反応としては、驚きの声もありましたし、やはり当時はデジタルが苦手なお客様もいらっしゃったので、ご一緒に慣れていくということが多い状況でした。
ただ、会員情報が一元化されたことで、オンラインをよくご利用されている方が、より一層店舗に足を運んでくださるという流れができました。お客様の幅が広がったということが非常に感じられます。
実際に会員登録をしていただくのは、接客の流れで変化させつつではありますが、基本的には会計時が多いです。前に店舗に来てくださったなとわかるお客様であれば、お名前をお伺いして、前回の購入履歴を見ながらお話することが可能になります。
また、「前回と同じものがほしいのですが、購入した店舗が違う店舗なのですが…」といった要望にもすぐにお答えすることができ、お客様の購入体験も向上させることができていると実感しています。
会員情報の活用について
責任者サイド(黒田 氏)
お客様の情報を活用することで、CRM施策の幅が広がりました。
例えばあるセグメントのお客様に当てはまるような特別なプランを企画し、その情報を特定のお客様に発信するといったことができる状態になりました。こちらは、まだできていないのですが、これからやりたいと考えていて、できる環境があるということが非常に心強いです。
また、ポイントプログラムもスタートさせました。実店舗でもオンラインでも、お客様が購入するごとにポイントが貯まり、それをクーポンに変えて来店するきっかけとしていただく施策です。このようなロイヤルティプログラムをスタートし、顧客様へ還元ができるようになったのもShopify POSでデータを一元化しているおかげです。
現場サイド(輿水 氏)
会員登録していただくことで、ご希望のお客様にはメールマガジンをお送りできるようになります。メルマガでは新発売の商品やキャンペーン情報などのニュース、クーポンをお送りしています。
店舗では、新商品の発売やキャンペーン実施の初日にお問い合わせをいただくこともありますし、メルマガをご覧になられて「一目惚れしました」と来店いただくこともあります。
ニュースをいち早くお届けできることは店舗側としてもとても大きいです。
Shopify POSの課題点
責任者サイド(黒田 氏)
Shopify POS自体が新しい機能なので、まだシステムが不安定になるときがあるといった印象はあります。また、日本ではまだクレジットカード決済に対応していないので、別の決済端末を用意する必要があり、そこはShopify POSで対応できるようになればいいなと思います。
もう1点、導入した際に悩んだことは、領収書の発行ができないことでした。こちらは、手書きの領収書をお渡しするか、アプリを導入して領収書をプリントアウトできるようにするという解決方法がありますが、日本の商慣習に合っていない部分も多いなと感じました。
まとめ
今回は、CLASSICS the Small Luxury様に、Shopify POSを導入した背景や、導入後の変化を、責任者サイドと現場サイドのそれぞれにお伺いしました。
既存のPOSに慣れている現場サイドが、POSの変更を受け入れてすぐに慣れていくことができた要因としては、デジタル化することでお客様によりよい購買体験を提供するというPOS導入目的を共有し、納得感を持てたことが大きいのではないかと思います。これはShopify POSの導入に限らず、変化を起こす際には非常に重要だなと感じました。
インタビューの様子は、動画でもそれぞれご覧いただけます。
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寄稿者プロフィール
東口 美睦
株式会社フィードフォース App Unity支援チーム
フィードフォースへ新卒入社し、データフィード管理ツール「dfplus.io」のセールスを担当。その後、App Unity支援チームに参加し、App Unityのマーケティングを担当。YouTubeチャンネルやブログ執筆を行う。