世界最大級のコマースプラットフォーム、Shopify(ショッピファイ)の日本法人 Shopify Japan 株式会社が、2023年2月21日(火)14:00から「Shopify Editions Winter ‘23における新機能発表について」と銘打った記者説明会をオンラインで行いました。リリースされた新製品や機能追加は100種類以上。中でも日本国内で使える内容が抜粋されて紹介されていました。速報でご案内します。

【登壇者】 Shopify Japan 株式会社 パートナーシップ 兼 事業開発部長 徳満 泰彰(とくみつ やすあき)氏
Shopify Editionsとは
Shopify では、2022 年から事業者や、開発者、パートナーがコマースにおける最先端のデジタル体験を実現していく上で欠かせない、Shopify の最新製品や機能アップデートを目的に、年 2 回発表する「Shopify Editions」というプログラムを開始しました。

Editions Winter ‘23のテーマ
この度発表された Editions Winter ‘23 は、「Built to Last」をテーマとし、あらゆる環境やビジネス状況が急速に変化し続ける中でも事業者が成長し続けられる、未来を見据えたビジネス基盤を構築するためのアップデートを提供していました。今回グローバルで発表されたポイントは9つありました。
- コンバージョンを促進する
- 複数のチャネルで販売する
- グローバル展開を進める
- B2Bで事業を拡大する
- お客さまを発掘し、エンゲージメントを促進する
- フルフィルメントと配送
- ビジネスを運営する
- Shopifyで構築
- コンポーネントを選択

今回のShopify Japanによる記者説明会において国内事業者のビジネスに関連してハイライトされて紹介されいてた新機能は下記の通りでした。順を追って説明してまいります。
- コンバージョンを促進する
- B2Bで事業を拡大する
- 顧客を発掘し、エンゲージメントを促進する

コンバージョンを促進するチェックアウト
6億4400万人が利用しているShopify Checkout
Shopifyはインターネット上で最もパフォーマンスの高い決済ソリューションを提供しており、その構築から学んだことを活かして、Shopifyを利用する全ての事業者のためのチェックアウト体験を最適化しています。下に表示されている商品をカートに入れることをスキップして、商品の購入を完了するアクセラレートチェックアウトは顧客の購買体験を変えてきました。Shopifyは、チェックアウトのリーダーで、過去16年にわたってShopify Checkoutを継続的に最適化し、米国のeコマースの10パーセント以上をサポートして、5兆ドル以上の注文を処理してきました。そして、日本を含め、世界では6億4400万人がShopify Checkoutを利用しています。今回のチェックアウトの機能拡張は、事業者並びに顧客のチェックアウト体験をさらにより良いものにする内容でした。
Shopifyが提供するCheckout前後のフロー
チェックアウトに関する新たな機能説明の前に、現在のShopifyが提供するチェックアウトや、チェックアウト前後のフローについて補足説明がありました。現在のShopify Checkoutは、下記図のように3つのページに分けられています。

顧客がカートに商品を入れた後、Shopify Checkoutに進み、最初のページでは購入者情報と配送情報を入力、2ページ目では配送方法を選択、そして最後3ページ目は決済方法を選択し決済手続きを行うと、そのカートはストアの在庫と照合されます。在庫がある場合、お客様は支払いを完了し、サンクスページに遷移し、在庫がない場合、エラーメッセージが表示されます。在庫は顧客が支払い情報を送信した場合のみ保持されて、決済が失敗した場合は、顧客が再び決済方法ページに進むまで在庫保持が解除されます。
Shopify Plus以外の事業者もShopify Checkoutをカスタマイズできるようになった
チェックアウトページはコンバージョンに直結しており、セキュリティ的にも非常に重要な部分であるため、これまではカスタマイズについては一部のShopify Plusの事業者のみに制限していました。今回の発表では、このShopify Checkoutの機能を、Shopify Plus以外の事業者にも一部拡張しています。
Shop Payを改めて知る
新機能を説明する前に、改めてShop Payについても説明がありました。Shop PayはShopifyが2017年から提供開始した決済ソリューションです。Shop Payにご自身の住所やクレジットカード情報を保存しておくと、次回以降のShop Payを有効にしているストアで保存した情報を使用して、簡単にお買い物することができます。メールアドレスと携帯の電話番号を登録すると、次回購入時にメールアドレスと携帯電話番号宛てに送られてくる 6桁のショップレコード、いわゆるSMS認証によるコードを入力するだけで、配送先やクレジットカード情報を再度入力することなく、簡単に支払いをすることができます。Shop PayはUPS などの配送会社と機能連携していて、海外からの注文については、追跡することが可能になっています。Shop Payは、購入時の摩擦を減らして、SMSを利用したワンステップのチェックアウトで、チェックアウト完了までの時間は、標準のチェックアウトと比較して4倍早く、モバイルでのコンバージョンは91%、そして、デスクトップでのコンバージョンは56%向上することが調査で分かっています。

いよいよ拡張されたShopify Checkout の機能をご紹介!

チェックアウトページを 1 ページに表示

カート離脱(カゴ落ち)の多くがチェックアウト画面で起きているという調査結果があります(参照)。このことから、コンバージョンを促進するためには、顧客がチェックアウトをいかに合理的に進められるかが重要だといえます。これまで Shopify のチェックアウト画面は、3ページで表示されていましたが、2023年後半から1 ページ(ワンページ)にまとめた表示に切り替わります。顧客が記入するフィールドを減らし、チェックアウト画面をシンプル化することでページのロード時間を減らし、チェックアウト時の顧客のストレスを軽減します。
Checkoutのカスタマイズをより柔軟かつ簡易化

Shopify Checkout のカスタマイズを行うためのアプリとして、事業者向けに Checkout Editor を、そして開発者向けに Checkout Extensions をそれぞれ追加しました。
従来、チェックアウトをアップデートやカスタマイズする際に、コード編集のスキルが必要でした。新たに追加された Checkout Editor により、事業者はシンプルにドラッグ&ドロップのみで、例えばチェックアウトページを自社ブランドのルック&フィールへ変更する、あるいはチェックアウトページにロイヤリティプログラムを追加するといったことがより簡単かつスピーディに行うことができます。また、Shopify の機能がアップグレードされても、事業者がカスタマイズしたチェックアウトにそれらのアップグレードした機能が影響なく反映することができます。
さらにこの度、開発者向けにチェックアウトアプリの開発を推進する Checkout Extensions で、UI コンポーネント・ライブラリや UI 拡張およびブランディング API やその他の機能を提供しています。これにより、開発者はカスタマイズしたチェックアウトアプリをさらに柔軟に開発することができるようになります。それらのアプリは Shopify アプリストアにて提供することができ、事業者はそのアプリを活用して独自性のあるチェックアウトページを作成することができます。

モバイルコマースを強化する「Shop」アプリに新機能を追加!
「Shop」アプリは、2020 年からグローバルで提供されています。下記のQRコードからダウンロードすることができます。(※「Shop」アプリは、現在英語のみで利用が可能です。)

Shopify では、D2C(Direct to Consumer)ビジネスを推進するなかで、個人や中小規模の事業者のように市場でまだ広く認知されていないブランド、あるいはそのブランド商品を顧客に発見してもらいやすくするための販売チャネルの一つとして「Shop」アプリを開発、誰もが簡単にモバイルコマースに事業展開するためのサービスとして提供しています。顧客は「Shop」アプリのストアで商品を購入すると、配送状況をモバイル上で確認することが可能です。
2022 年から「Shop」アプリ上での取引きは 2 倍以上に増加しており、なかでも Shopify の上位 100 社の事業者は、アプリ内で再購入までにかかる時間が、自社が展開するオンラインストアでの場合と比較して 6 倍以上短縮しているという結果が出ています。そこで Shopify では、事業者が Shop アプリをより効果的かつ効率的なモバイルコマース戦略として活用できるように、新機能を追加しました。
「Shopify Editions Winter ‘23」でリリースされた国内で利用可能な新機能は以下の通りです。

❏「Shop」アプリで展開するストアのカスタマイズ:「Shop」アプリ内でブランドの存在感を高める
「Shop」アプリで展開するストアを最適化することで、顧客が商品をカートに追加する確率が最大 15% 高まることが明らかになっています。そこで Shopify は、事業者がゼロからシステムを新たに構築しなくても、ブランドの独自性を保持しながら「Shop」アプリ内でモバイルコマースを実現できるよう支援します。この度新たに、商品のラインアップや売れ筋商品の表示、口コミ、ブランディングといった機能を提供することで、「Shop」アプリで展開するストアをカスタマイズし、アプリ内で顧客エンゲージメントを向上することができます。
❏「Shop」アプリにサインインする機能をオンラインストアに追加:オンラインストアに「Shop」アプリのサインイン機能を追加できるようになったことでコンバージョンを促進、1 億人を超える「Shop」アプリユーザー獲得の機会を創出

事業者は「Shop」アプリにサインイン機能を追加できるようになり、買い物体験の初期段階で確度の高い 顧客を特定しやすくします。また「Shop」アプリや Shop Pay により買い物体験のフローを整えることで、結果的にコンバージョン率を 8% 向上します。そのほかのコンバージョンを促進することに貢献する Shop アプリの新機能は下記のとおりです:
● パスキー:「Shop」アプリユーザーが Apple や Android 端末で「Shop」アプリにサインインする際、顔認証や指紋認証といった生体認証キーで、簡単にサインインすることを可能にします
● お気に入り機能:「Shop」アプリ上で気に入ったストアをお気に入り登録する機能を追加したことで、顧客との関係をより強固なものにします。
B2B で事業を拡大する

Shopify は2022年 6 月の Editions で企業間取引(B2B)コマースソリューションを発表して以来、何十種類もの機能を追加してきました。Shopify は、世界有数の D2C コマースソリューションを提供してきたことで培った実績と知識を B2B ビジネスに活用し、継続的に機能を強化していくことで、B2B コマースのデジタル体験を向上していきます。
今回追加された事業者向けの機能には、販売商品数量の条件設定や、事業者と顧客との受発注のやり取りを効率化するための機能など、そして開発者向けには、卸売事業で必要となる受注書や配送指定、B2B コマース向けのロイヤリティプログラムをカスタマイズして構築するための API を提供しています。

販売商品数量の条件設定
❏事業者向け
最低および最大で購入可能な数量や、ケース入数、インクリメントといった、商品やバリエーションに対して販売商品数に下記のようにさまざまな条件を設定することが可能です。
- 商品の最低発注量を設定し、平均受注額を増加させる
- バルク販売で、商品発注して納品されるまでのフルフィルメントプロセスを簡素化し、送料や手数料を節約する
- 顧客ごとに違うルールの適用

受発注プロセスの効率化
❏事業者向け
事業者と顧客の受発注プロセスを効率化します。
- 注文を下書きとして受け取り、最終的な受注決定前に内容確認を行うことで、 事前に製品の在庫確認や配送可能状況などを把握することが可能より高い管理性と可視性を得ることが可能
- 顧客からの注文を自動的に承認することで、承認プロセスの効率を向上
- 顧客がオンライン上で見積もり依頼できるオプションを提供

B2B向けの新しいAPIを提供
❏開発者向け
B2B向けコマースで卸売業が必要となるカスタマイズを追加するためのAPI群を提供します。
- 注文メモ
- チェックアウト時に注文メモ、梱包、配達に関する指示を収集
- B2Bロイヤリティプログラムの構築

顧客を発掘し、エンゲージメントを促進する
トークンゲートで実現するコマースの国内における提供を開始、また NFTの取引を実現するための開発者向けツールを提供

今日事業者が置かれた競争環境において、強固な顧客関係を構築することは必須です。確度の高い顧客にターゲットを絞り、獲得し、再びエンゲージするために最適なツールにマーケティング予算を使うことで、本当の意味での有効活用を実現します。
NFT トークンの配布機能が日本でも提供されることに!
Shopify のブロックチェーン技術で、未来の顧客ロイヤリティを高めていくために、Shopify では Editions Summer ’22 でトークンゲートコマースを発表しました。これにより、事業者は NFT を有効化して、NFT ホルダーだけが楽しめる体験や商品にアクセスさせることができるようになりました。今回の Editions では、前回の Editions では米国で一部事業者に提供していた NFT トークンの配布機能を日本でも提供していきます。また、開発者向け に NFT のロイヤリティを高めるための API やコンポーネントを提供することで、Shopify のプラットフォーム上で次世代のロイヤリティ体験を簡単かつ迅速に構築することができます。

トークンゲートコマース :開発者向けAPIを提供
- NFT Sales Eligibility API
NFTによるロイヤリティプログラム構築にフォー カスするため事業者資格確認作業時間を短縮
アプリを使用してShopify上で(Shopify Payments経由で)NFTをミント・販売するマーチャントの資格を確認
- Blockchain Components
Shopifyに最適化したツールでスピーディな開発を実現 - Tokengate Component
ゲートの設定と、連携したウォレットにもとづく購入者の資格ステータスを表示
- Connect Wallet Component
Shopifyストアや、アプリ、チャネルとウォレットを連携し、メッセージに署名する ことが可能
「Shopify Editions Winter 2023 」に関する詳細や、本プレスリリースで紹介していないその他の新機能についてはこちらをご覧ください。
■Shopifyとは
カナダのオタワで創業した Shopify(ショッピファイ)は、コマースに不可欠なサービス提供する世界トップクラスのコマースプラットフォームです。個人事業主から中小企業、大手企業まで、あらゆる規模の小売業のコマースの立ち上げから成長、市場投入、運営までを一括して管理するためのソリューションを提供します。
世界 175 カ国以上で展開され、「すべての人に、より良いコマース体験を」のミッションのもと、スピード、信頼性、セキュリティを重視した設計のプラットフォームとサービスにより、オンラインや店舗、あるいはその融合された場所でも、世界中の顧客に寄り添った、満足度の高いお買い物体験を実現します。
国内では、味の素社、WEGO (ウィゴー)、オリオンビール、亀田製菓、KINTO(キントー)、コンバースジャパン、JUN(ジュン)、Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)、タンスのゲン、NEW ERA(ニューエ ラ)、Francfranc(フランフラン)、Blue Bottle Coffee Japan(ブルーボトルコーヒージャパン)、横浜 FC、 海外では、Allbirds(オールバーズ)、Heinz(ハインツ)、Netflix(ネットフリックス)、Mattel(マテル)など、 多くのブランドに利用されています。
詳細はこちらをご覧ください。

執筆者プロフィール
水野正和
株式会社フィードフォース App Unity支援チーム
2006年にイオン株式会社に入社。戦略部配属、電子マネー「WAON」の立ち上げに参画。翌年に事業企画プロジェクトチームにて「イオンネットスーパー」の創業メンバーとなり物流、オペレーション設計、品質管理基準の設計を担当。2018年末からはレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely株式会社のコマース事業の立ち上げに参画し、PB「クラシルミールキット」をはじめ、Instacartモデルの「クラシルデリバリー」など複数の新規事業を構築。その際に出会ったShopifyに魅了され「多くのマーチャントが本業であるコマースに集中できる環境を作りたい」という想いで国内環境に適合したShopifyアプリを提供する企業アライアンス「App Unity」に参画。座右の銘は「大黒柱に車をつけよ」。 Twitter