寄稿者:App Unity相談室 水野正和

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OMO対応のお見積りは数億円!?


「お客さまのLTVや満足度を高めるためにも、従業員の業務効率を上げるためにもOMO(※)が大事と聞くけど、実装ってお高いんでしょ?他の会社だと数億円の開発費の見積もりが出てきたと聞くし、上場している体力がある大手企業さんしか導入できないでしょ…。」

こんにちは、App Unity相談室 コンシェルジュの水野と申します。私は2006年から小売業の事業会社でキャリアスタートしてから、16年ほどネットスーパーやEC事業、オムニチャネルなどにドップリ浸かって生きてきました。歴史がある小売業では、古くからインハウスのカードを発行しているような企業となるとクレジット発行会員数も数千万人規模にもなっており、そのIDを活用しようという話になります。そのために複雑なシステムのつなぎ込みが必要になり、2012年頃にOMOを実現しようとすると世界的に有名な外資系コンサルタントファームさんや誰もが知っているような開発会社さんとお話しをして、ミニマムで数億円の開発見積もりを頂戴するということが実際にありました。

※OMOとは、Online Merges with Offlineの略で日本語に直訳するとオンラインとオフラインの結合を指します。これまでのO2Oとオムニチャネルとの違いはFRACTA社 One by One局ブランドストラテジックプランナーをしている土田さんのnoteを御覧ください。

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さて、時は今。D2C(Direct to Consumerの略)ブランドが店舗を出店するときや、店舗を運営してきた新興ブランドがECを展開するにあたって、至極当たり前のようにOMOを実現しています。そうしたスタートアップは、一体どれぐらいの予算で、どのような手段でOMOを実現しているのでしょうか。

今回は、ShopifyというECプラットフォームを活用すればOMOを短納期・低コスト・高効率で実現できるというお話をしてまいります。
その中でも多くの方々からDMなどでお問い合わせを頂戴するものが「OMOの費用感」です。早速ですが、結論は以下の費用感になります。

OMO対応の費用を大公開


※【PDF版】OMO対応費用一覧表のダウンロードはこちらから > OMO対応費用一覧表.pdf

導入しやすい順番AプランBプランCプランDプラン
★推奨プラン
EプランFプラン
構成①店舗とEC会員の一元化Omni HubOmni HubOmni HubOmni HubOmni HubOmni Hub
②ポイント発行Omni HubOmni Hubどこポイ(Appify VIP)どこポイ(Appify VIP)どこポイ(Appify VIP)Appify VIP
③LINE連携・CRM活用なしCRM PLUS on LINE
(LINE連携)
CRM PLUS on LINE
(LINE連携)
CRM PLUS on LINE
(LINE連携)
CRM PLUS on LINE
(LINE連携+ログイン)
CRM PLUS on LINE
(LINE連携+ログイン)
④在庫連携なしなしなしロジクラロジクラロジクラ
⑤モバイルアプリ化なしなしなしなしなしAppify
月額費用※①Shopifyプランベーシック($25/月)~ベーシック($25/月)~スタンダード($69/月)~スタンダード($69/月)~Shopify Plus($2,000/月)Shopify Plus($2,000/月)
②アプリの金額約2.7万円〜約2.7万円〜
※CRM PLUS on LINEフリープランの場合
約3.3万円〜
※どこポイベーシックプランの場合
約5.1万円〜
※ロジクラLiteプランの場合
約7.7万円〜
※CRM PLUS on LINE Advancedプランの場合
約17.5万円〜
※Appify VIP、Appifyベーシックプランの場合
③スマレジプランプレミアムプラス(¥7,700)~プレミアムプラス(¥7,700)~プレミアムプラス(¥7,700)~リテールビジネス(¥13,200)~リテールビジネス(¥13,200)~リテールビジネス(¥13,200)~
月額小計
※為替レートは$1=130円計算
¥37,975¥37,975¥49,739¥73,239¥352,200¥450,200
メリット・デメリット・選択基準このプランでできるようになること(※すべてひとつ前のプランに加えての対比)・最小の費用で会員・ポイント一元化を行うことができる以下の会員一元化に関する最低限の項目が抑えられる
・ポイント一元化
・LINEメッセージ配信
店舗・EC共通で会員ランク設定など、高度なポイントプログラムを実現できる会員情報のオムニチャネル化に加えて、在庫情報のオムニチャネル化も実現LINEログインで店舗での会員登録をよりスムーズにすることができるモバイルアプリとLINEの併用で、ファンとのつながりを作っていくこともできる
お客さまのメリット店舗で買ってもECで買ってもポイント共通化EC・店舗の購買情報を元にLINEが届く便利なポイントプログラムと、LINE活用ができる会員一元化だけでなく、在庫一元化で顧客体験も向上会員登録がLINEログインでかんたんにファンはモバイルアプリでも繋がれる
おすすめの導入事業者まずは店舗とECで会員・ポイント共通化をしたい場合店舗とECを繋いでLINE配信を行いたい場合会員情報一元化の安価×フルサポート基本的なオムニチャネル化が押さえられるプラン店舗に多くのお客さまが訪れる場合モバイルアプリも構築したい場合

※細かい構成は異なる場合がございます。
※会員数等によって費用感はプラン内のものとは異なる場合がございます。

いかがでしょうか? 実際にいろんな方とお話をすると「想像していた費用よりもずいぶん低かった」というお声も何度か聞かれました。一方で「これまでの顧客アセットを持っていない企業だから簡単に導入できるのであろう。うちはインハウスカードの会員が数千万人いらっしゃるから…」というお声も聞かれます。では、実際にOMOを実装された会社さんの事例も交えて、導入の背景などを見ていきましょう。
※プランは一例です。App Unityにご相談いただければ、貴社のやりたいことに合わせた構成と費用感をご提案いたします。

OMO実践事例 -BAKE様の場合-


App Unityは、焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」をはじめ8ブランドを展開するBAKEさまのOMOの実現に向けたサポートをさせていただいた実績がございます。BAKE様にはどのような課題があり、どのような全体像でどのように解決されたか、そしてどれぐらいのコストなのかをお話したいと思います。

▲BAKEさまのオンラインストア。どれもお洒落で美味しいのでご自身へのご褒美、手土産にぴったりです!(^q^)

BAKE様がOMOをご検討された背景


株式会社BAKEのブランド戦略室 コミュニケーションチームの宮里様は我々が行ったインタビューでOMOをご検討された背景について下記の通りおっしゃっています。中でも「オンラインストアと実店舗を連携するシステムを独自開発することは費用面などを鑑みても難しい」点が推進において大きな課題になったようです。

  • 近くにお店がない方など、より多くの皆様にBAKEブランドのスイーツを好きなタイミング、好きな場所で楽しんでもらいたいと考え、2020年にShopifyを利用してオンラインストア(EC)を立ち上げた。
  • 一方でオンラインストアと実店舗でお客さまの情報が統合されておらず、オンラインストアでの商品購入時には実店舗で発行していたポイントは利用できないことは、お客さまにご不便をおかけしてしまっている状況で大きな課題として認識しはじめた。
  • 店舗ごとにLINE公式アカウントが展開されており、BAKEが展開する様々なブランドの商品をお客さまに案内しづらい状況だった。
  • モバイルアプリでの会員登録には時間がかかり、店舗でお客さまに積極的に案内しづらい状況だった。
  • これらの課題は早急に解消したいと思っていたが、オンラインストアと実店舗を連携するシステムを独自開発することは費用面などを鑑みても難しいと考えていた。

OMOで実現したかった世界観


上記のような背景を持ちながらも、OMOを実現すべく、とても視座高くお客さま満足度向上を目指していらっしゃいました。施策はとても視座の高いものでした。

  • 元々各ブランドの実店舗が中心となってお客さまとの接点を作っていたが、BAKE社で展開するさまざまなブランドをお客さまに知っていただける顧客体験にしたい。
  • 日々多くのお客さまが来店する店舗でも、かんたんに会員登録しBAKEブランドと気軽に繋がっていただく構造を構築したい。
  • 店舗 / オンラインストア(EC) / アプリ / LINE公式アカウントの登録情報を連携し、顧客データを一元化したい。

App UnityがShopify上で出したOMOの答え


上記の課題、背景を踏まえ、以下のような全体像となりました。

  1. Shopifyを中心に店舗連携・ポイントプログラムなどを刷新し、店舗 / EC / アプリ / LINE公式アカウントの登録情報を連携し、Shopifyに顧客データを一元化しました。オンラインで展開するBAKEブランドとお客さまが幅広く繋がれる環境が実現できました。
  2. レジ前で会員登録する時間とコストを削減することと、店舗ごとに分かれているLINE公式アカウントを統合し、運用体制の整理とLINEのメッセージのパーソナライズを実現するために株式会社ソーシャルPLUS が開発したShopify向けアプリ「CRM PLUS on LINE」をShopifyに接続しました。Shopifyには顧客タグ機能が備わっており、そのタグを利用したセグメント配信(お気に入り店舗・ブランド別など)の配信ができるようにいたしました。(より詳しい連携内容はソーシャルPLUS 社が発表している事例を御覧ください。)
  3. BAKEさまが利用中のPOSシステム「スマレジ」とコマースプラットフォーム「Shopify(Shopify Plus)」を連携するアプリとして株式会社フィードフォースの提供する「Omni Hub」を採用し、「顧客・ポイント一元化」を実現しました。
  4. ポイント実装・管理においては、株式会社Appify Technologiesが開発したShopifyをモバイルアプリ化できる「Appify」を導入し、ポイント管理の仕組みとして「Appify VIP」を繋ぎ込みました。

※細かい構成は異なる場合がございます。また会員数等によって費用感はプラン内のものとは異なる場合がございます。

  • Omni Hub … 店舗とオンラインストアの顧客情報一元化アプリ
  • CRM PLUS on LINE … LINEログイン、LINE活用
  • Appify … モバイルアプリ構築
  • Appify VIP … ポイント発行

OMOの効果はあったのか? 劇的Before/After


  • 今回のリニューアルを行うまでは、LINE公式アカウントだけ顧客管理のデータベースが独立しており、店舗ごとのLINE公式アカウントに友だちは増えていくけれど、店舗ごとのメッセージ配信にしか使えないという状況だったが、「CRM PLUS on LINE」を使うことでLINE連携者のデータがShopifyの顧客タグや顧客メタフィールドに反映されるため、Shopifyに集積した顧客データ・購買データを中心にLINEのメッセージ配信を自由に設計できるようになった。

会員登録フォームでの入力項目と、Shopifyの顧客タグ・メタフィールドへの反映イメージ

  • LINEログインでの会員登録はお客様にとっても店頭のスタッフにとってもスムーズで「すぐにポイントを貯めれたり使ったりできる」というところでメリットを感じていただきやすいため、店頭スタッフからも紹介しやすいという声があがっている。
  • 今期目標のLINE公式アカウントの友だち追加4万人を達成
  • 友だち追加経路の割合では、ターゲットリーチの8割をLINEログイン経由での登録が占める

LINEログインを利用した会員登録フロー

新アカウント「BAKE INC.」のLINE公式アカウントでは、共通会員バーコードへのアクセスやブランドを横断したメッセージの受け取りができる

以上となります。

OMO相談室(期間限定無料)のご案内


今回はOMOにかかる費用、解決できる課題、解決方法を一気に公開いたしました。私は10年前に数億円のお見積りを頂戴した日の光景を今でも覚えているのですが、たったこの10年でデジタルシフト、OMOがこれほど身近で、しかもこれほどお客さまの事を考え尽くした仕組みが簡単に手に入る時代が来るとは思っても見ませんでした。今回ご紹介したBAKE様も、これまで各店舗で集めてきたLINE友達のデータを諦める覚悟で取り組まれていると感じまして、OMOへの改革への本気度を強く感じました。そしてこうして効果を感じていただいていることを大変嬉しく思っております。

App UnityではOMOに本気で取り組むマーチャント様を全力でバックアップさせていただきたいと思っております。通常、この分野でコンサルタント・ファームに依頼するだけでかなりの金額をお支払いされることになると思いますが、我々App Unityでは無料でお悩み相談をさせていただきます。なによりも皆様の「お悩み」が我々App Unity参画企業一同が未来の価値を創造するためのガソリンとなります。ぜひお気軽にお声がけください。

寄稿者プロフィール

水野 正和

株式会社フィードフォース App Unity事業開発責任者。EC/OMOお悩み相談室コンシェルジュ。

①2007年に某GMSのネスパ創業(公表GMV 750億円)、②楽天市場SOY自動車部門大賞2年連続受賞(2018-19)、③Shopifyを活用したD2C立ち上げ(19)、④流通小売業と業務提携でのQコマース(21) 、⑤Eコマース専用SM(22)とEC歴16年のEC大好き人間。