顧客のリピート率を向上させることは、企業にとって非常に重要です。リピート顧客は、既に商品やサービスを利用した経験があるため、商品やサービスについての情報や信頼感があるため、新規顧客よりも購買意欲が高く、かつコストが低くつくことが多いです。

しかし、リピート顧客を獲得するためには、顧客のニーズや要望に合わせた適切なアプローチが必要です。顧客ごとに異なるリピート率の背景には、顧客が商品やサービスに求める価値観や、過去の購買履歴、顧客が利用している他社の競合サービスなど、様々な要因があります。これらを正しく分析し、リピート率の向上に繋がる施策を講じることが求められます。

そのため、データ分析を活用したアプローチが必要不可欠です。データ分析によって、過去の購買履歴や、商品やサービスを利用する上での嗜好など、顧客が求めるものを明らかにすることができます。また、顧客属性や顧客グループの特徴を分析することで、どのような顧客がリピートしているのか、どのような顧客がリピートしていないのかを特定することができます。

このようにデータ分析を活用した顧客リピート率の向上には、正しい分析を行い、顧客に合わせた施策を実施していく必要があります。

今回の分析では、弊社の顧客データを元に顧客属性と商品属性ごとにリピート率について分析しましたので、その一部分析結果をご紹介しようと思います。

リピート率が高い顧客の分析結果から見えたこと


はじめての購入からリピートまで、顧客の動きを分析した結果、5つのグループに分類することができました。この分類により、初回購入時の状況に合わせた施策を考えることができるようになりました。

今回は、その中の一つのグループ(以下、グループA)について、その特徴や取り組み事例を紹介したいと思います。

一般的に、初回購入時の購入金額が大きい方が、顧客のロイヤリティが高く、リピートする傾向にあると考えられますが、今回の分析では、購入金額が小さい顧客のほうがリピート率が高いことがわかりました。グループAは、他のグループと比較して購入金額が小さいにもかかわらず、購入金額が大きなグループと比較すると、リピート率が約40ポイント向上していることがわかりました。

また、分析の結果、初回購入時に多くの場合、送料無料ラインで注文していることがわかりました。つまり、送料無料となる金額を設定しておくことで、初回購入時の注文単価が向上する可能性が高くなるということです。

この可視化からわかることとして、初回購入のみの顧客と比較してリピートしている顧客の方が低い購入金額で注文しているということがわかります。リピートする顧客は、初回購入において送料を支払ってでも購入したいというロイヤリティが非常に高いことがわかります。

このようなことから、初回購入だけで購入をやめてしまっている顧客は、送料があることに対して一定のボトルネックを感じている可能性が示唆されます。

リピート率が高い商品の分析結果から見えたこと


ここまでは、初回購入時の注文金額を元に、リピートする顧客とそうではない顧客の違いを確認しました。ここからは、初回購入時の商品カテゴリごとに顧客のリピート率がどう変化しているかを確認していきます。

以下に示す画像は、グループAの顧客が購入した時のカテゴリごとに、次回購入でどのカテゴリの商品を購入したのかを表しています。

商品カテゴリG1から商品カテゴリC2への線が伸びている場合は、初回購入時には商品カテゴリGの商品を購入し、2度目の購入で商品カテゴリCを購入したということになります。それぞれの線の太さは、その経路で購入した顧客の数を表しており、太いほど流動数が多いことを示しています。また、LOST2は初回購入以降に一度も購入していない顧客の流れを表しています。

この可視化からわかることとして、商品カテゴリDのリピート率が高いことが挙げられます。商品カテゴリDを購入した後、2度目の購入でも同じカテゴリDを選んでいる顧客が非常に多いことがわかりました。

また、グループAの顧客は、初回購入時にカテゴリDの商品を1個以下しか購入していないことから、カテゴリDを購入した後に「もう一度食べたい」といった顧客の心理状況を推測することができます。

まとめ


本日は、データ分析によるECサイトのデータ分析の事例についてご紹介しました。データ分析を行うことで、初回購入だけで離脱してしまう顧客の特徴や、リピート率の高い商品カテゴリなどを把握することができます。これらの情報を基に、顧客のリピート率向上や注文単価の向上を目指す施策を実行することができます。

本ブログでは、具体的な施策については紹介していませんが、これらのインサイト発見に加えて、施策の紹介も同時に実施しており、より効果的にEC運用の改善を行うことができます。

データ分析から得られた有益な情報を基にPDCAを回し、最適な施策を検討し、実行することで、限られたリソースでもより良いECサイト運営を行うことができます。今回のブログを通じて、データ分析の重要性やその有効性についてご理解いただけたかと思います。

EC運営という多岐にわたる業務の中で、データ分析をする時間を作成することは困難です。当社では今回ご紹介したような分析を実施できます。少しでも興味がある場合は気軽にお問い合わせいただければと思います。

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寄稿者プロフィール

八百 俊哉

株式会社フィードフォース App Unityチーム

フィードフォースへ新卒入社し、データ分析チームでデータサイエンティストを担当。その後、App Unityチームに参加し、Shopifyストアのデータ分析サービス開発・新規事業開発に携わる。