顧客情報は、企業にとって顧客体験の向上や売上の拡大を行うために欠かすことができない要素です。そのため、適切に、不足なく取得し、管理をすることが必要です。
しかし、実店舗とECサイトの顧客情報基盤がバラバラになっていることによって、別々のチャネルで購入したお客様の情報を正しく顧客情報が蓄積できていない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、実店舗とECサイトの顧客情報基盤を統合することの必要性と、統合の方法、さらに、実際に成功している企業の事例を5つをご紹介します。
実店舗とECサイトの顧客情報基盤の統合の必要性
実店舗とECサイトの顧客情報基盤を統合すると、顧客の商品購入情報を統合するだけではなく、主に下記のような施策を実施することができます。
- ポイントの共通化
実店舗、ECサイトで同じポイントを使用し、ポイントの利用履歴もリアルタイムで同期できるようになります。
- メールやLINEでのカスタマイズされたCRM施策の実施
店舗での購入履歴が同じ顧客情報基盤で紐づくので、実店舗でしか購入履歴がない顧客や、実店舗とECサイトの両方を利用する顧客に対しても、メールやLINEといったオンラインでのCRM施策をよりパーソナルにカスタマイズされたものにできます。
- ファーストパーティデータの蓄積・マーケティングへの活用
ECだけではなく、実店舗のデータも1人の顧客に紐づき、結果としてファーストパーティデータが豊富に蓄積されます。それらを活用することで、サードパーティクッキー廃止の中でも、よりパーソナライズされたマーケティングを実施することができます。
このように、実店舗とECサイトの顧客情報基盤を統合することで様々な施策を実施することができますが、これらの施策を行うことは顧客体験を向上させることにつながります。
そのため、顧客体験を向上させるために、実店舗とECサイトの顧客情報基盤を統合することは企業にとって必要不可欠だといえるでしょう。
Shopifyを使った顧客情報基盤の統合の方法
顧客情報基盤を統合する方法は、使用しているECカートシステムやPOSレジによって変わってきますが、本記事では比較的安価、かつ簡単に統合ができるShopifyを使った方法をご紹介します。
Shopify POSを使用する方法
Shopifyでは、独自のPOSシステム「Shopify POS」が標準機能として提供されています。Shopify POSを活用することで実店舗の購入データを、Shopifyの顧客データに紐づけて蓄積することができます。具体的な購入とデータ連携のフローは以下です。
- オンライン(Shopify)で会員登録を行う
- 登録されている顧客情報をPOS端末で紐付ける
- チェックアウトを行う
Shopify POSでは、顧客情報の連携だけではなく、在庫情報の連携も行うことができます。また、アプリを使用することでポイントの共通化も実施できます。詳しい機能は下記の記事もご参考ください。
◆ Shopify POSとは? 使い方や魅力・導入時の注意点・事例まで、まるっと解説。
スマレジを使用する方法
POSシステム「スマレジ」を導入している場合、Shopifyアプリ「Omni Hub」を活用することで簡単に実店舗とECの顧客データを統合することができます。具体的な購入とデータ連携のフローは以下です。
- オンライン(Shopify)で会員登録を行う
- 発行される会員証をスマレジで読み取る
- 決済を行う
※会員証は、「Apple ウォレット」や「Google ウォレット」に連携して表示することも可能です。
店舗の決済時の会員登録はユーザーの負担となるため、できる限り簡単にすることが求められます。Omni Hub連携では、店頭でシームレスな購入体験を実現するために以下のような機能もあります。
- 決済後のレシートにQRコードを表示させ、そのQRコードを読み取り、会員登録/ログインすることで、後から店舗の売上情報と会員情報を紐づける。
- LINEのQRコードを読み取り、LINEアカウント上でLINEログインをして、会員登録/ログインをする。(※LINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」の利用が必要です)
◆ LINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」
その他、スマレジ – Omni Hub連携では、他のShopifyアプリを使用することで在庫情報の連携や、ポイントの共通化、LINEやモバイルアプリとの連携も実施することができます。詳細は下記をご参照ください。
実店舗とECサイトの顧客情報基盤統合の成功事例5選
ここからは、Shopifyを使ってECと顧客情報基盤の統合を実現された企業の成功事例をご紹介します。
店舗とECサイトのポイントの共通化を実現した「BAKE」の事例
「BAKE CHEESE TART」や「PRESS BUTTER SAND」など複数のスイーツブランドを展開するスイーツメーカーの株式会社BAKEでは、実店舗とオンラインストアのポイントが共通化していないなどの課題があり、Shopifyとスマレジの顧客情報の一元化を実施しました。
実店舗とECサイトの顧客情報を統合したことで、店舗での会員登録も容易になり、LINEの友だち数の増加にも繋がりました。さらに、ブランドを横断したLINE配信も可能になりました。

顧客情報を共通化してパーソナライズされた商品の提案を行う「wine@」の事例
体験型ワインショップ&バー「wine@」では、オンラインで作成したワインカルテの情報を参考にして実店舗でもECサイトでもお客様の好みのワインを提案するために、Shopifyとスマレジの顧客情報の一元化を実施しました。
また、店舗での会員登録もシームレスに実施するために、CRM PLUS on LINEを使ったLINEログインを導入しています。

店舗とECサイトを横断したメンバーシッププログラムを実施している「Minimal」の事例
日本発のBean to Bar Chocolateブランド「Minimal」では、店舗とECを横断したメンバーシッププログラム「Minimal Collective(ミニマルコレクティブ)」をローンチするにあたり、実店舗とECサイトの顧客情報の統合が必須となり、Shopifyとスマレジの顧客情報の一元化を実施しました。
ロイヤリティプログラムアプリ「VIP」も活用し、ポイント管理やお客様の購入状況に応じたランクの振り分けを行っています。

実店舗とECサイトを横断して詳細な顧客分析を実施しサービス改善に繋げる「NAILS INC」の事例
ロンドン発のファッションネイルブランド「NAILS INC」では、店舗とECサイトの会員基盤が別々で、それぞれで会員登録をしないといけない点が課題となっており、Shopifyとスマレジを使って顧客情報基盤を統合しました。
これによって、実店舗とECサイトを横断して、詳細に顧客分析ができるようになり、パーソナライズされたCRM施策の実施や、サービス改善に繋げています。

約1ヶ月で実店舗とECサイトの顧客情報基盤が統合されたストアを構築した「KEBOZ」の事例
ストリートアパレルブランド「KEBOZ」では、お客様ファーストのOMO型ストアを構築するために、Shopifyとスマレジを使って顧客情報を統合しました。
POSレジの切り替えや、オンラインサイトのUI改修、ポイントプログラムの開始も並行して行ったにもかかわらず、顧客情報基盤の統合はわずか3週間ほどで実施されました。

まとめ
実店舗とECサイトの顧客情報基盤を統合すると、様々な顧客データをマーケティングやCRM施策に活用でき、結果的に顧客体験を向上させることができます。
本記事では、Shopifyを活用した顧客情報基盤の統合の方法や、成功事例をご紹介しました。Shopifyは、短期間で比較的安価に顧客情報基盤を統合することができます。
実店舗とECサイトの顧客情報基盤の統合をご検討されていらっしゃる方は、お気軽にご相談ください。
寄稿者プロフィール
東口 美睦
株式会社フィードフォース App Unity支援チーム
フィードフォースへ新卒入社し、データフィード管理ツール「dfplus.io」のセールスを担当。その後、App Unity支援チームに参加し、App Unityのマーケティングを担当。YouTubeチャンネルやブログ執筆を行う。