寄稿者:フィードフォースベトナム 森大輔

フィードフォースベトナムの森です。2021年11月にフィードフォースグループの子会社をベトナム・ホーチミン市に設立し、越境EC支援とアプリ開発を行っています。
近年、国内需要の停滞や円安などの影響で越境ECを検討する事業者さんが多い一方で、「越境ECは何からはじめればいいか分からない」といった声も伺います。この記事では越境ECの一歩目を踏み出す観点を解説していきます。
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越境ECのはじめ方
こちらは本記事で触れる、越境ECをはじめる際の観点です。

例えば、「腰を据えて中国に販売をする」場合の考え方はこちらです。

本図では簡略化していますが、越境ECの実施方法は数多くあり、さらに、考慮すべきことは税務や物流など多岐に渡ります。ターゲット国・地域の詳しい情報はJETROなどをご覧になり、理解を深めるようにしましょう。
初期費用なし~数千円のはじめ方もある
まずは気になる費用について。
ハードルが高く感じられる越境ECですが、単に「自社サイトを海外ユーザーから買える状態にする」のみであれば、Shopifyを使用している場合は純正の機能を用いて、初期費用なし、プラン費用内のみで越境ECをはじめることができます。
また、Shopifyではない場合も、販売代行・購入代行を用いて、初期費用なしで取り組めるサービスもあります。
集客に本気でコミットを続ける場合は、サイト構築・コンテンツ作成・広告への投資を行い、最低でも数百万円単位以上の予算が必要になるでしょう。
他の販路拡大方法としては、ECモールへの出店があります。Amazon・eBayなど海外で強い集客力を誇るECモールは、自社で運営をすれば最低、固定費ゼロ~数千円+販売手数料から出品が可能です。ECモール出店の代行会社を利用する場合は、15万円~/月程度から外注ができます。
テストマーケ?がっつり拡大志向?
越境ECの目的や段階によって、取り組む範囲は変わります。以下の図は越境ECのフローと取り組む範囲の一例です。



自社サイトに海外からアクセスがあることから、「とりあえず海外に販路を作りたい」「まずはテストマーケをして反応を見たい」と比較的手軽に越境ECをはじめたいケースもあれば、PMF(Product Market Fit)を見つけて戦略として海外販売に投資し続ける意思決定を行うケースもあるでしょう。一口に「越境EC」と言っても、企業・担当者がコミットする度合いによって、施策は大きく異なります。
中国・アメリカ・東南アジア
販売先ターゲット国・地域の選定はとても重要です。ここでは、中国・アメリカ・東南アジアの3地域を取り上げます。

市場規模は世界一位が中国・二位がアメリカで特に大きく、中国・アメリカへの越境ECに取り組まれるケースは多いです。

中国
中国はEC市場規模が世界一位で、頭一つ抜けています。「独立の日」セールやライブコマースに象徴されるように、「商品が飛ぶように売れる」ニュースが報道されることも多いです。
一方で、中国製品は安価で、コピー製品も頻繁に作られることから、中国で販売する場合は価格競争に対応できる商品、もしくは、独自の価値提供ができる商品であることが重要なポイントとなります。税制やレギュレーション、ネット回線などの問題があり、日本の自社サイトからの直接の販売は困難なため、ECモールを活用するケースが多いですが、TmallなどのECモールには市場規模の成長以上に進出ブランドの増え幅が大きく、競争は激しくなっています。
アメリカ
二番目に大きいEC市場がアメリカです。アメリカへの越境ECはAmazon・Ebayを利用するケースが多く、Amazonは広告などの販促手段やKeepaなどの分析ツールが充実しているプラットフォームでもあります。
一方で、アメリカへの越境ECはFBA(Fulfillment by Amazon)の使い勝手が良いことから、転売・せどりが大きな割合を占めていて、個人との競争になることも多いです。
自社サイトを運営している場合は、英語サイトを構築することで、アメリカのみならずオーストラリア・イギリス・シンガポールなど世界中の購買力が高い英語圏の国々へのマーケティングも行いやすくなるメリットがあります。
東南アジア
日本から近い成長市場として、東南アジアを販売先として選ぶケースも増えています。
東南アジア主要6カ国(シンガポール・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム・フィリピン)のEC市場規模は急速に拡大しており、その合計市場規模は2025年までに日本のEC市場規模を上回ると予測されています。
東南アジアの消費者は日本と文化的に近く、日本製品への関心が高いことに加え、東南アジアへの越境販売が可能なECモール(Shopee・Lazada)は他モールと比較して手数料が安価なことから、販売をはじめやすい地域となっています。
一方で、東南アジアの中で可処分所得が高い英語圏の国(シンガポール・マレーシア)は人口が多くなく、アメリカと比べて高額な商品が売れにくい地域であるとも言えます。
国・地域 | 中国 | アメリカ | 東南アジア |
魅力 | 世界一のEC市場規模 | 購買力が高い | 日本から近く、税制が比較的シンプル |
注意点 | 税制対策・偽物対策 | 転売・せどりとの競争になりやすい | 可処分所得が高い人口が多くない |
検索数から、自社サイト or モールを考える
販売先ターゲット国・地域を決めたら、自社の商品に合った売り方を考えましょう。いくつか方法がありますが、ここでは自社サイトとモールの2つを考えます。
モールは集客力が強いですが、認知度が低いカテゴリーの商品を売ったり、ブランドストーリーを伝えることは苦手です。そういったケースはモールではなく、自社サイトを中心とした越境ECを考えましょう。
自社の商品名・カテゴリー名がターゲットとする国で検索されているかを調べ、検索数が多い場合はECモールを活用できる見込みが強いです。加えて、どれくらいの数の競合商品がECモールで売られているか、その価格帯はいくらかを調べ、販売機会があるかを見極めましょう。

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寄稿者プロフィール
森 大輔
フィードフォースベトナム 代表
フィードフォースで広告運用コンサルタントを経験した後、2021年11月にフィードフォースベトナムを設立し、越境EC支援・アプリ開発事業を行う。好きなベトナム料理はバインセオ。